久野 靖/Yasushi Kuno
略歴
- 1979.3 東京工業大学理学部情報科学科 卒業
- 1981.3 東京工業大学理工学研究科情報科学専攻修士課程 修了
- 1984.3 東京工業大学理工学研究科情報科学専攻博士後期課程 単位取得退学
- 1984.4 東京工業大学理学部情報科学科 助手
- 1986.3 理学博士(東京工業大学)
- 1989.4 筑波大学大学院経営システム科学専攻 講師
- 1990.8 同 助教授
- 2000.12 同 教授 (同専攻は社会工学系、2001からビジネス科学研究科、2011からビジネスサイエンス系)
- 2016.4 電気通信大学情報理工学研究科 教授, 筑波大学 名誉教授
- 2022.4 電気通信大学情報理工学研究科 特命教授
著作等
所属学会
- 1981年〜現在 情報処理学会 (2014年 シニア会員)
- 1981年〜現在 ACM (Association for Computing Machinery)
- 1983年〜2021年 日本ソフトウェア科学会
- 2008年〜2021年 日本情報科教育学会
委員会等
- 1998年度〜現在 情報処理学会 初等中等教育委員会 委員 (2005〜2012 委員長)
- 1998年度〜1999年度 大学入試センター「情報関係基礎」出題委員
- 2001年度〜2002年度 情報処理学会 プログラミング研究会論文誌編集委員会(PRO) 委員
- 2002年度〜2012年度 ACM International Collegiate Programming Contest (ICPC) 日本大会 審判 (2003年度 審判長)
- 2004年度〜2005年度 文部科学省 初等中等教育における教育の情報化に関する検討会 委員
- 2005年度〜現在 情報処理学会 情報処理教育委員会 委員
- 2006年度〜2010年度 文部科学省
学習指導要領等の改善に係る検討に必要な専門的作業等協力者 (共通教科「情報」)
- 2010年度〜2017年度 日本情報科教育学会 理事
- 2012年度〜2013年度 日本情報科教育学会 企画委員会 副委員長
- 2012年度〜2015年度 日本情報科教育学会 学会誌編集委員会 委員
- 2012年1月 情報入試研究会 設立発起人
- 2013年度〜2020年度 情報処理学 会誌編集委員会 専門委員会 (教育分野/EWG)委員
- 2013年度〜現在 情報入試委員会 委員
- 2014年度〜2017年度 情報処理学会 論文誌教育とコンピュータ編集委員会(TCE)委員
- 2014年度〜2015年度 日本情報科教育学会 学会賞表彰委員会 委員
- 2014年度〜2017年度 日本情報科教育学会 広報委員会 委員 (2016-2017 委員長)
- 2015年度〜2022年度 情報処理学会 教員免許更新講習委員会 委員
- 2016年度〜2018年度 文部科学省
大学入学者選抜改革推進委託事業 (平成28年~平成30年実施分)
情報分野 (代表大学 大阪大学) 分担者
- 2016年度〜2017年度 日本情報科教育学会 研究委員会 委員
- 2017年度〜2020年度 日本学術会議 情報学委員会 情報学教育分科会 連携会員
- 2023年度〜現在 情報処理学会 情報科教員・研修委員会 委員
- 2024年度〜現在 日本学術会議 情報学委員会 情報学教育分科会 連携会員
非常勤等
- 1990年度〜1993年度 東京工業大学理学部情報科学科 非常勤講師
- 1991年度 早稲田大学メディアネットワークセンター 非常勤講師
- 1994年度〜1998年度 長崎総合科学大学 非常勤講師
- 1994年度〜2016年度 東京大学図形・情報教室 非常勤講師
- 1999年度〜2012年度 東芝株式会社 TSSI講師
- 1999年度 弘前大学理工学部 非常勤講師
- 2002年度〜2003年度 東京学芸大学教育学部 非常勤講師
- 2019年度〜2020年度 星薬科大学創薬科学科 非常勤講師
表彰等
- 1985年 情報処理学会創立25周年記念論文賞
データ抽象向けプログラム設計技法 [ソフトウェア工学研究会]
- 1990年 プログラミング・シンポジウム 山内奨励賞 流れて行かないUNIX環境の評価
- 1995年 プログラミング・シンポジウム 山内奨励賞 アイコンは投げられるか?
- 2014年度 情報処理学会 学会活動貢献賞 「教員免許講習会業務への貢献」
- 2014年度 情報処理学会 シニア会員
- 2015年度 情報処理学会 山下記念賞
コンピューティングを基盤とした情報教育の再規定 (SSS2014)
- 2017年度(H29) 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞
情報教育の評価手法の普及啓発 (推薦機関 情報処理学会)
- 2021年 プログラミング・シンポジウム 山内奨励賞
短冊型問題を用いたプログラミング学習アドバイスツール
研究分野・テーマ
- プログラミング言語
- 言語処理系、言語と型、抽象データ型、型パラメタ、オブジェクト指向、
プロトタイプ方式、並行言語、同期メカニズム、抽象状態、抽象状態同期、
対称メッセージ、Join Tokens (Mogemoge)、教育用OO言語
- ユーザインターフェース
- 目新しいUI、出力の残置、ウィンドウシステムによる時間計測、キーボード窓操作、
キーボードお絵描き、キーボード操作の優位性、投げる操作とその非Fitzz性、
非GUIタブレットUI
- 情報教育
- ネットワーク教育、WWW教育、「情報」とプログラミング、OOとプログラミング教育、
試作教科書、新・試作教科書、情報科教育法、「情報」と学会の役割、CSアンプラグド、
プログラミング学習の他分野への効果、自律ロボット教材、小学校プログラミング教育、
「情報」入試問題、情報教育の必要性/カリキュラム、情報科教員免許更新講習、
プログラミング学習の枠組と指針、思考力・判断力・表現力(TJE)と作問、
情報教育の参照基準/情報教育課程の設計指針、アセンブリ言語体験、
コンピュータリテラシ科目、プログラミング入門科目、短冊型問題、
PBLプログラミング入門、幼稚園プログラミング
研究歴
([番号]は著書・論文等の「論文等」の参照番号)
東工大時代(1975-1989)
- 東工大理学部1975入学。学部/修士/博士/助手とずっと木村 泉先生
[201]に師事した。
- 自分の学部・修士時代については、
[201]に少し書いてある。そこにもあるが、
木村先生は自分が4年生のときは在外でCMUにいて、指導を受けるようになったのは
修士1年の時から。部屋は4年の時から計算機棟204(木村研学生室)。
- 学部の時から言語処理系が好きだったが、修士の時は研究室でやっていた
「マクロ方式かな漢字変換」のCLU言語版
[1]
[2]
[3](その前はSNOBOL3版だったらしい)
の開発とそれを用いた「ソフトウェア作法」翻訳の作成に多く労力を使う。
修論「マクロ方式かな漢字変換の開発と評価」。
- 博士課程では、「ソフトウェア作法」出版のお手伝い(初版1981.5.1)を
続けながら、CLU言語に興味が出てそれを使ったソフトウェア開発の進め方の
研究を行う
[4]
[6]。なお、このCLU処理系は2学年上の佐渡一広先生(のち群馬大)
が実装したもので、大変よくできていた。
- 博論はすぐには書けず、査読つき論文
[3]
[6]がそろってから2年遅れで提出。
博士論文「抽象データ型言語によるシステム開発と日本語情報処理」
(東京工業大学 1986.3)。
- 助手に採用され、木村先生の隣の部屋(秘書の佐久間さんと同室)に移る。
「多重継承と強い型付けを持つ言語Misty
[5]
[17]」の研究を始める。
- 木村研の学生(佐藤直樹さん、鈴木友峰さん、中村秀男さん, 荒井俊史さん、
二瓶勝敏さん, 明石 修さん, 関 啓一さん)と「CLUマシン」プロジェクトを
実施
[7]
[10]
[15]。
- 角田博保先生(電通大)と共同で「流れて行かないUNIX環境
[11]
[14]」、
「キーボードによる窓操作機構
[18]」などUIの研究を行う。
- 博士学生の久野禎子さんと「並列オブジェクト指向言語を用いたTMS
[13]」
の研究。これは彼女が米澤明憲先生(私が学部4年の時木村研助手になり、
その後助教授)のABCL/1言語を勉強して一人で開発、私は論文化の手伝いが主。
結婚。
筑波時代 前期(1989-1998)
- 筑波大学 1989年、社会工学系/経営・政策科学研究科 経営システム科学専攻の
発足に合わせて移る。日本で始めての夜間大学院(社会人を受け入れ)。MBA。
隣は1年遅れで企業法学専攻、あと教育研究科カウンセリング専攻。
1996年に企業科学専攻(博士)を企業法学専攻と一緒に設立。
- 情処学会誌に解説を書くようになる
[16]
[19]。夜間大学院についての発表も
[20]。
- 2年くらい経ってから、最初の指導学生: 岡野(旧姓土井)美和子さん(修士)。漫画の面白さの研究。
のち漫画家の岡野 剛さんと結婚。
- UIの研究に引き続き従事。角田先生、大木敦雄先生(筑波)と「絵はねずみなしでも描けるか?
[22]」、
さらに粕川正充先生(お茶大)も加えて「アイコンは投げられるか?
[26]
[31]」、
「ペンコンピュータのUNIX(アイコン投げ)
[36]
[40]
[87]」。
- Misty
[21]に関連して「Mistyにおける動的な型の扱い
[23]
[24]」の研究。
- 並行言語にも関心を持ち、「状態抽象: モジュール化のもう1つの可能性
[25]」を発表。
- 鵜林尚靖さん(修士)と、「並列オブジェクト協調記述言語
[27]
[29]
[30]
[32]
[34]
[39]」の研究。
それに触発されて、「対称型メッセージ送信とその実装
[33]」の研究。
- 地引昌宏さん(博士), 芦原栄登士さん(修士), 山下雄三さん(修士)たちと
「オブジェクト指向の分散仮想マシン
[35]
[41]」のプロジェクト。
- 大木先生と「抽象状態同期に基づく並列オブジェクト指向言語 p6
[37]」。
- 飯島昭博さん(修士)「NetNewsサーバにおける効率的な記事配送方式
[42]」。
筑波時代 中期(1998-2007)
- 筑波の組織が「ビジネス科学研究科」となり、東京地区で自立していろいろ
決められるようになる(2001)。
- 1998年に情処学会初等中等委員会(PS)が武井惠雄先生(帝京大)、大岩 元先生(慶應大)
により設立され、その委員として参加。情報科試作教科書(1998)を発行。
PSの委員長は武井先生→久野→和田 勉先生(長野大)→中野由章先生(工学院大)
→坂東宏和先生(獨協医科大学)。
- 大学入試センタで「情報科学基礎」の出題委員を務める(1998-2000)。
このころから情報教育の研究にも従事
[43]
[47]
[75]
- 初めて単独海外発表「抽象状態を用いて継承異常を解消
[50]」。
- 白井宏明さん(修士), 藤森洋志さん(修士), 鈴木久敏先生(筑波), 寺野隆雄先生(筑波),
津田和彦先生(筑波)と「WWW環境を利用したビジネスゲーム開発ツール
[44]
[45]
[53]
[60]
[68]」。
- 上田哲郎さん(博士)と「ベクターコンポーネント
[38]
[48]
[49]
[55]」。
- 福井眞悟さん(修士)と「PIM向け情報表現形式
[46]」。
- 兼宗 進さん(博士)と「教育用オブジェクト指向言語Dolittle
[52]
[54]
[58]
[74]」、
さらに、御手洗理英さん(修士), 中谷多哉子さん(SLagoon), 福井眞吾さん(修士)とともに
「オブジェクト指向言語による初中等プログラミング教育
[56]
[57]
[59]
[62]
[63]
[69]
[71]」。
- 山崎兼介先生(学芸大)、鍋島尚子さん(学芸大博士)と「情報」免許を取得しない学生も
対象とした「情報科教育法」の研究
[66]。
- 西森丈俊さん(修士)と「アクションゲーム記述に特化した言語
[64]
[70]」。
- 西森さん、手島孝一さんと韓国でシンポジウム
[77]
[78]
[88]
[89]。
- 大木先生と「抽象状態同期ライブラリ/カーネル実装
[81]
[83]
[91]
[107]」。
- 兼宗先生(一橋大)の仲介により教育系の鎌田俊之先生(愛教大)、原 久太郎さん(ゆーらっぷ)、
現場の先生がたの紅林秀治先生、井戸坂幸男先生、青木浩幸先生、佐藤和浩先生、
西ヶ谷浩史先生、韓国の李 元揆先生(高麗大)の周辺と多く研究
[72]
[73]
[79]
[80]
[85]
[86]
[90]
[96]
[97]。
- 辰己丈夫先生(農工大)と「ドリトルと情報教育の音楽化
[76]」。
- 兼宗先生、辰己先生、長 慎也先生(一橋大)、並木美太郎先生(農工大)、西田知博先生(大阪学院大)、
中野由章先生(千里金蘭大)、山之上 卓先生(鹿児島大)らと情報教育、新・試作教科書、
プログラミング教育の研究
[82]
[84]
[93]
[94]
[95]。
リタイア後(2022-)
- 中山先生のご尽力により、定年後も電通大の特命教授として在宅勤務。
ゼミや研究会、シンポジウム、研究会、委員会はオンラインで参加。
情報処理学会: 情報教育委員会、初等中等教育委員会、情報入試委員会。
学術会議: 情報学委員会情報学教育分科会(特任連携会員、2024.5-)。
- 辰己先生ほかと「情報科の入試問題
[214]」。
- 「情報」入試問題解説記事
[215]
[218]。
- 宮島拓三さん(修士、岩崎研)「ブロック型言語からテキスト型言語への移行を
補助するプログラミング学習環境
[212]」。
- 蟻坂太士さん(修士、中山研)「コード‐クラス図間対応理解補助システム
[213]」。
- 渡邉景子さん(博士、東京女子体育大)と「ビスケットによる幼少接続
[216]
[219]
[223]」。
- 中鉢直宏さん(博士、高崎商科大)と「生成AIによる情報プレースメントテスト
[217]
[220]
[222]」。
- 「『情報教育課程の設計指針』の改訂
[221]」。
- 「初学者向けプログラミング自己学習教材
[224]」。
著書・翻訳
([b番号]は著書・論文等の「書籍」の参照番号)
- 「言語プロセッサ
[b03]」は、初めての著書
(これの前はハンドブックものの分担執筆)。
シリーズものの1冊らしいが、ほとんど見掛けなかった(この本も)。
内容はコンパイラの本で、構文解析等のアルゴリズムをCommonLispで
書きまくっているのが特徴(いかにも売れそうにない)。
- 「UNIXの環境設定
[b04]」は、ASCII出版の
My UNIXシリーズの最初の本で、久野禎子と共著。UNIXはちゃんと
環境設定しないと使いづらい、というコンセプトが成功したようで、
第2版も含め何回も増刷になり成功した本。第2版
[b29]も発行。
- 「プログラミングの心理学
[b05]」は、木村先生、角田先生、
白濱律雄さんと共訳。木村先生が長らく訳したかった本で、ようやく版権が
取れた。プログラミングの心理的側面にスポットを当てた最初の本で、すごい名著。
25周年記念版
[b31]も発行。これは元の版の
各章毎に「25年たっての答え合わせ」の節をつけたもの。
- 「UNIXの基礎概念
[b07]」は、My UNIXシリーズの
続巻として企画。ふつうのUNIX解説本なので「UNIXの環境設定」ほどは売れず。
それでもそれなりに増刷はかかった。第2版
[b30]も発行。
- 「HTML入門
[b08]」は、久野禎子と共訳。WWWが始まった
センセーションの中で発行でき、2番手のHTML本(1番手は
「インターネットホームページデザイン」という本)として良く売れた。Laura Lemay
さんの本は成功したものが多く、やはりよい著者なのだろう。第2版
[b16]」も出た。
- 「続・HTML入門
[b09]」は、久野禎子と共訳。CGIはじめ
WWWのHTML以外の部分を取り上げている。このあたりの本では早かったようで、
良く売れた。第2版
[b17]」も出た。
- 「UNIXワールド
[b10]」は、久野禎子と共訳。UNIXの
説明本で。分厚い。
- 「Java言語入門
[b11]」は、武舎広幸さん、久野禎子と共訳。
Lauraさんの本でJava言語とJDKの基本部分。よく売れた。
- 「Java環境入門
[b12]」は、武舎広幸さん、久野禎子と共訳。
Javaの本でもう1冊という感じ。Lauraさんでないのでそこそこ。
- 「CGI入門
[b13]」は、久野禎子と共訳。
CGI専門の本としてはまあまあ早く出たかとおもう。
- 「入門tcl/tk
[b14]」は、Tcl/tk本としては
それなり? いろいろ例題を考えて工夫した。
- 「UNIXによる計算機科学入門
[b15]」は、東工大非常勤の
「プログラミング環境」とそれに続くGSSMの「計算機科学基礎」の内容を元に
本にしたもの。第2版
[b28]も発行。
- 「続・Java言語入門
[b18]」は、福井眞吾さん、久野禎子と共訳。
さまざまなAPIなど新しい部分。この本ではかなり内容を適切にするため直して翻訳
したが、そのことを見抜かれた書評を竹内郁雄先生に書いて頂いた覚えがある。
- 「『情報』試作教科書 情報A/情報B/情報C
[b19]」は、情報処理学会
初等中等教育委員会が指導要領をもとに作ったもの。久野は情報Aと情報Cの
ネットワークの利用や仕組みの箇所を中心に執筆した。
- 「コンピュータネットワークと情報
[b20]」は、試作教科書の
ネットワークの部分を中心に本として再構成したもの。
- 「Javaによるデータ構造とアルゴリズム解析入門
[b22]」は、久野禎子と共訳。
アルゴリズム解析の本で、言語がJavaという感じ。自分でも訳して勉強に
なった覚えがある。
- 「入門WWW
[b23]」は、My UNIXシリーズで、
HTML/CSSとWWWの関係する部分の解説。けっこう頑張って沢山の内容を
コンパクトにまとめた良い本だと思う。
- 「情報科教育法
[b24]」は、辰己丈夫先生、
大岩 元先生と共同監修の、情報科教育法のテキスト。情報科の
教え方でさまざまなアイデアを書いた。
- 「Javaによるプログラミング入門
[b25]」は、久野禎子と共著。
Java言語を用いたプログラミング入門書。第2版
[b41]も。
- 「入門JavaScript
[b26]」は、My UNIXシリーズで、
JavaScriptの解説本。標準ライブラリやWebプログラミングなどの要点を
まとめている。自分としては非常によい本だと思う。
- 「情報A/情報B/情報C
[b27]」は、嵩先生が
代表になり著した最初の「情報」の教科書で、これ以降ずっと
第一学習社の著者を務める。分担は情報Aと情報Cのネットワーク部分を
中心に執筆。2005年と2007年に改訂版が出ているが、2007年では
プログラミングの箇所を中心に情報Bも執筆。情報A: 情報活用の実践力、
情報B: 情報の科学的理解、情報C: 情報社会に参画する態度(いずれも
主に)という区分だった。
- 「これだけでわかる最新情報リテラシー
[b32]」は、辰己丈夫先生、佐藤義弘
と共同監修。「情報」の資料集として売り込むことを目指した。毎年タイトルを
すこし変更した「最新情報リテラシー」シリーズとして病気で倒れるまでやった。
「キーワードで理解する最新情報リテラシー
[b38]」、
「キーワードで理解する最新情報リテラ シー 第3版
[b41]」などと続く。
- 「高校普通教科「情報」新・試作教科書
[b33]」は、初等中等委員会
として改訂される指導要領ではこうあって欲しい、という内容提案を
したもの。前の試作教科書のように注目されることは無かったが、
よくまとまった内容でできていると思う。「情報I」「情報II」
の2部構成なのは次の指導要領を予見していた? (ただしこちらは
必履修+必履修の構成)
- 「コンピュータを使わない情報教育アンプラグドコンピュータサイエンス
[b34]」は、Tim Bell他が
著した「アンプラグド」の本を兼宗 進先生が翻訳したもので、久野は
「追補」として内容に関する追加説明を書かせてもらった。
- 「ビューティフルコード
[b35]」は、久野禎子と共訳。
オライリージャパンの翻訳を始めた本で、さまざまな人のエッセイ集だが
けっこう気合いが入ったものが多かった。よく売れた。著者の一人である
まつもとゆきひろさんと目黒雅叙園で対談させてもらった内容も収録。
- 「ドリトルで学ぶプログラミング
[b36]」は、兼宗 進先生と共著。
自分たちで作った言語の本を出すことができた。第2版
[b43]も。
- 「Rubyによる情報科学入門
[b37]」は、東大の非常勤科目
を元に本にしたもの。後の「基礎プログラミングおよび演習」の元でもある。
- 「情報科教育法 改訂2版
[b39]」は、辰己丈夫先生と
共同監修。第1版
[b24]をだいぶ改訂し執筆陣も
入れ換えた。その後、改訂3版
[b49]」も出した。
- 「ビューティフルアーキテクチャ
[b40]」は、久野禎子と共訳。
ビューティフルコード
[b35]の続編だが、アーキテクチャ
なのでだいぶシステムっぽい。
- 「Making Sofware
[b44]」は、久野禎子と共訳。
これも続編だが、エビデンスに基づくソフトウェア工学の本なのでなかなか
難解なものになった。
- 「高等学校 社会と情報
[b45]」は、指導要領改訂に基づく
第一学習社の教科書。もう一つの科目「情報の科学」は遅れて発行される
ことになる。
- 「アルゴリズムとデータ構造
[b46]」は、電子情報通信学会
「知識の森」の6群3編として慶應の山本喜一先生の依頼でチームを組んで
掛かったが、よい内容のものが出来たと考えている。
- 「ディジタル作法
[b47]」は、カーニハン先生の
本で、木村先生が訳された「ソフトウェア作法」「プログラム書法」の
著者の本を私が訳すのか、と思った。
- 「高等学校 情報の科学
[b48]」は、「社会と情報」
と対をなす第一学習社の教科書。こちらの方がプログラミングも含まれて
いて、よりやって欲しい内容。
- 「情報とデザイン
[b50]」は、楠 房子先生、
小池星多先生との共著。久野の担当部分は最初の情報入門部分だが、
せっかくデザインの本でMac前提なので、PostScriptを直書きする
章を設けた。後半は他の先生がたのデザインの話。
- 「高等学校 情報I
[b51]」は、H30指導要領
の「情報I」の教科書。編集方針で大学の先生はテキストを書かない
ことに。
- 「コンピュータリテラシ2020
[b52]」は、電通大の
同名科目のテキスト。ネットワーク、アセンブリ言語、JS、Unix、
LaTeX、WWWと自分がやって来た教育の集大成な感がある。
- 「基礎プログラミングおよび演習2020
[b53]」は、電通大の
同名科目のテキスト。RubyとC言語を用いて、初心者から中級までを
目指し、離陸ファーストで行う、プログラミング入門教育の集大成。
講義・演習科目等
([L番号]は講義・講演等の「講義資料」の参照番号)
筑波時代 前期(1989-1998)
- [L01]
プログラミング環境@東工大: 筑波(GSSM)に移ってすぐ木村先生に
頼まれて、カーニハンの「UNIXプログラミング環境」をモデルに東
工大情報科学科向けに作った科目。資料ははじめの年は手書きだっ
たが、すぐにLaTeX化し、以後ずっと全ての講義資料はLaTeXによる。
2024現在でもほぼそのままでLaTeXが通るのに驚く。構成は (1)プ
ログラミング環境の歴史/OS/プロセス (2)ファイルシステム/文字
コード (3)ディレクトリの仕組み(4)シェル/シェル変数 (5)フィル
タ/正規表現/パイプ (6)スクリプト/パス/制御構造 (7)テキストエ
ディタの歴史/ed/Awk (8)ネットワーク/OSI/TCPIP
(9)UI/X-Window/イベントドリブン (10)C/CPU管理/メモリ管理
(11)データ構造/システムコール/ディスクリプタ (11x) 言語処理
系/アセンブリコード (12)プロセス生成/パイプを作る (13)シェル
を作る/lex/yacc。相当頑張った内容であった。今みると最初のこ
の科目でかなり自分の教える範囲がカバーされているのに驚く。
- [L02]
計算機科学基礎@GSSM(毎年): 筑波で大木先生と共同で計算機の入
門科目として長く開講し、電通大に移ってからも2017まで非常勤で
やった。GSSM発足から1993までは他の先生と分担して一部、1994か
ら2013まで10回、その後は5回。1997年
[b15]と2004年
[b28]
に丸善から本として出す。構成は1996で (1)計算機の仕組み
(2)OS/プロセス/シェル/言語処理系 (3)ファイルシステム/テキス
トファイル/ディレクトリ/入出力 (4)UI/WIMP/シェル変数/スクリ
プト (5)フィルタ/正規表現/パイプ/AWK (6)ネット/送受信/プロト
コル (7)UI/X-Window/イベントドリブン (8)図形処理/機器独立/PS
(9)テキスト処理/エディタ/日本語処理 (10)WWW/HTML/CGI。後にな
るとネットとWWW関係が増えている。
- [L03]
計算機ソフトウェア@GSSM(隔年): トピック的に好きなテーマで講
義/輪読をする科目。1992年はNeXT Cubeを408室に2台入れてもらえ
たので、それを使ってObjective-C/Interface Builderを使ってみ
る内容で実施。構成は (1)OBJC (2)Viewオブジェクト (3)GUL部品
(4)PS/図形の部品化 (5)複合図形 (6)インターフェースビルダ。
- [L04]
ゼミ資料@GSSM(単独): 1993年は本の輪読ゼミを始めた年で、中谷
さん、児玉さんなどが参加していた。そこで輪読と並行してCLU言
語の紹介をした。CLUはbitの連載はしたが、講義資料はこれだけ。
構成は(1)簡単なプログラム (2)反復子/基本型 (3)構造型/配列
(4)レコード/oneof (5)例外/手続き型/型パラメタ (6)クラスタ(7)
クラスタ復習 (8)ルービックキューブ型 (9)パラメタ型の操作
(10)練習問題解答。
- [L05]
ソフトウェア工学実験@電通大: 角田先生に頼まれて電通大の実験
科目を1993-1995に担当。2年はLispで自分でevalを作るまで。構成
は(1)前置記法/条件/lambda式 (2)記号処理/リスト/再帰
(3)cons/apply/eval/トップレベルを作る。1年はLex+YACCで最後は
シェルを作って見せる。構成は (1)Lexとパターン (2)YaccとBNF/
記号表 (3)木構造の実行 (4)シェルを作る (5)小さな言語のコンパ
イラ (6)複雑な式/手続き。
- [L06]
計算機プログラミング@GSSM(隔年): 計算機ソフトウェアと対の隔
年科目で、毎回に近く言語を替えて講義を作った。1993年はKCLで
CommonLispをみっちりやった。構成は (1)S式/関数定義/条件 (2)
再帰/リスト (3)cdr再帰/ループ (4)様々な再帰/関数引数 (5)do/
ラムダ式/マップ関数 (6)setf/属性/eval,apply (7)マクロ/バック
クオート (8)探索/深さ優先と幅優先 (9)if-then規則/推論/エキス
パートシステム (10)パターン/推論とパターン。
- [L07]
計算機ソフトウェア@GSSM(隔年): 1994年は、ACM TOOISから論文紹
介がメインだがおまけでTcl/tkの紹介をやった。構成は (1)概要/
スクリプトの記法 (2){}による引用/変数/式/リスト。
- [L08]
プログラミング基礎@GSSM(集中): 1994年に夏集中講義として入門
科目を実施。言語はPascalを使用。構成は (1)PAD/Pascal/条件分
岐 (2)数値/条件の複合/反復 (3)計数反復/配列/文字列 (4)手続き
/関数 (5)ファイル/再帰。
- [L09]
計算機言語と処理系@長崎総合科学大学: 井上謙蔵先生に依頼され
て、コンパイラの集中講義を1994年から数年間やる。宿泊は長崎市
内のビジネスホテルで、4日間タクシーで通ったのを覚えている。
構成は (1AM)言語/構文と意味/処理系の各部 (1PM)形式言語/BNF
(2AM)字句解析/オートマトン/LEX (2PM)構文木/下向き解析/上向き
解析 (3AM)意味解析/構文指示翻訳/木の生成/記号表/型検査 (3PM)
実行時環境/記憶域/リンケージと引数機構/ごみ集め (4AM)中間コー
ド/目的コード生成 (4PM)最適化/制御フロー解析/データフロー解
析/ループ最適化/手続き間最適化。「言語プロセッサ
[b03]」
にかなり準拠。いま思うとそうとう頑張った内容で学生さんには
迷惑だったかも。
- [L10]
情報処理@東大: 川合 慧先生に頼まれて、1994年から東大の1年次
科目の非常勤に。津田塾大の小川貴英先生の後任だった模様。2016
年まで22年間も続ける。駒場の情報処理教育棟ができた年からだっ
た。最初の3年間はPascalでプログラミングとその他使い方を含む
内容。1995の構成は (1)login/logout/パスワード変更/X/mule/ファ
イル関係コマンド (2)プログラムとアルゴリズム/PAD/Pascal/WWW
(3)プログラムの構造/宣言/文/式/メール送受 (4)整数と実数/分岐
/日本語入力/ネットニュース (5)ディレクトリとファイル/if-then
の連鎖/複合文/お絵描き(xpaint) (6)変数の書き換え/複合文の使
い方/idraw (7)ここまでの復習 (8)2分探索/ループ中の入出力/for
ループ/HTML (9)配列/2次元配列/PPM/プログラムで絵を描く (10)
ファイル/ディレクトリツリー/パス/保護 (11)LaTeX/PATH/スクリ
プト/関数 (12)CGI/構造化グラフィクス (13)スクリプト2/アニメー
ション (14)漢字コード/様々なアプリケーション/Tcltk。使い方部
分が時代を感じさせる。また、文系生にプログラミングを教えるの
に苦労している様子が若い。
- [L11]
計算機プログラミング@GSSM(隔年): 1995年はC言語中心でシステム
プログラミングをやった。構成は (1)read-write/バッファIO/ファ
イルマッピング (2)文字列/コマンド引数/open-close
(3)fork-wait-exec/ディスクリプタとパイプ (4)termcap/シーケン
ス/パッケージを作る (5)メニュー機能/フォーム機能 (6)イベント
ドリブン/Xt (7)C++/ADT/クラスを作る (8)動的分配/継承/抽象メ
ソッド (9)HTML/CGI/Java。Xtで苦労していて、Javaが登場とか
時代を感じさせる。
- [L12]
経営システム科学I@GSSM(毎年): ビジネスゲームを作らせるGSSMの
特徴的な科目で、1997年から2002年までビジネスゲーム生成システ
ムの説明部分を担当した。始めのうちは仕様が定まっていないのが
面白い。構成は (1)gg(Game Generator)のマニュアル (2)ゲーム
Price Onlyを動かし修正課題をやる (3)追加機能とサンプル。
- [L13]
計算機プログラミングI@東大: 1997年に東大の1年次科目が看板を
掛け替えて、2005まで、Javaによるプログラミングとなる。構成は
(1)アルゴリズムとプログラム (2)値/オブジェクト/クラス/制御構
造 (3)配列(4)APIドキュメント/文法 (5)Applet/Graphics2D (6)図
形オブジェクト (7)内部クラス/インタフェース/スレッド/アニメー
ション (8)例外/GUI部品 (9) 動的分配/実装/継承/イベント (10)
サウンドとMIDI (11)ウィンドウ/レイアウトマネージャ/モデルと
ビュー(12) Iterator/ArrayList/ダウンキャスト。情報科学以前の
いろいろ見物するやり方の集大成、あと演習の例解が次回資料のは
じめにあるスタイルを始めた。
筑波時代 中期(1998-2007)
- [L14]
ヒューマンインタフェース@GSSM(隔年): UIテーマの始めての科目。
隔年開講で1999-2003に実施。GUI以前、Tcl/tk、MHP、Xt、アプレッ
トと、技術ものが多い。増井俊之さんをゲストに招いた年も。1999
の構成は (1)UIとは/歴史 (2)GUI以前(コマンド・フォーム・メ
ニュー)/画面制御/計算機入力の人間学 (3)tcltk/レイアウトマネー
ジャ/計測実験/MHP (4)Xt/黒丸消し/ADT/C++ (5)アプレット/オブ
ジェクト構造化グラフィクス/マルチスレッド/アニメーション。
- [L15]
TSSI@東芝: 東芝TSSIとは、社内技術スクールで、自分は3回でプロ
グラミング言語を担当。永田守男先生の後任で1999に始め、2012ま
で。後は滝本宗宏先生に引き継ぐ。最初は様々な言語とアーキテク
チャやメカニズム中心という感じだったが、途中から要望に応えて
JavaとC++の対比とOOを多くし、JSとプロトタイプ、AOPなどを扱う
ようになった。1999年の構成は (1)プログラミング言語とは/CPUアー
キテクチャと言語/様々な言語(低水準、手続き型、記号処理、論理
型)/Java (2)手続き型の進化(構造化、型、モジュール、ADT、型パ
ラメタ)/OO(カプセル化、動的分配、継承、抽象クラス
/SmallTaik-80/FlavorsとCLOS/OOと型/自己反映/継承と委譲 (3)イ
ンタフェース/OO利用技術(ライブラリ、フレームワーク、コンポー
ネント、デザインパターン)/並列・並行/マルチプロセサ/並列モデ
ル/スレッド/排他(スピン、セマフォ、モニタ)/楽観的/メッセージ
/RPC/future/ガード。2011年の構成は (1)計算機言語/プログラミ
ング言語の諸側面(制御構造、変数、型、関数、モジュール、ADT、
OO)/OO(C++、Java、メッセージ記法、例題) (2)OOその2(値とオブ
ジェクト、ゴミ集め、例題、コピーコンストラクタ、書き換え可能
と不能)/OOその3(OOの定義、クラス、カプセル化、インタフェース、
動的分配、継承、抽象クラス)/SmallTaik-80/FlavorsとCLOS/OOと
型/継承と委譲/プロトタイプ/入れ子クラス。
- [L16]
計算機プログラミング@GSSM(単独): 1999年にJava版の入門科目を
用意。構成は (1)アルゴリズム/プログラミング/制御構造 (2)値と
オブジェクト/String/配列/ファイル (3)アプレット/メソッド/引
数/クラス (4)継承/スレッド/アニメーション/動的分配/抽象メソッ
ド/複合図形 (5)インタフェース/Enumeration/Vector/内部クラス
(6)GUI部品/アダプタクラス/モデルとインターフェースの分離 (7)
パッケージ機能/修飾子/ダウンキャスト/動的生成/自己反映機能
(8)直列化/画面クラス/RMI (9)酒屋問題。
- [L17]
情報科学特殊講義@弘前大学: 弘前大学の清水俊夫先生に依頼され
て2000年1月に同大学の集中講義をしに行った。Javaで面白く体験
してもらえばいいと考え、基本のあとはお絵描きがメインで、その
あとアプレットやアニメーションを扱う順で。
- [L18]
プログラミング基礎@GSSM(単独): 2000年はJava版。短く入門して
もらうという方針で。構成は (1)アルゴリズム/プログラミング/制
御構造 (2)制御構造続き/値とオブジェクト/アプレット/配列/メソッ
ド (3)インターフェース/モデルとインターフェースの分離/Swing
(4)implementsとextends/GUI部品/部品の動作/例外 (5)CSVのクラ
ス/日本語の扱い/窓を開く/レイアウトマネージャ/例題:図形記述
アプリケーション。
- [L19]
情報システム技術論@GSSM(隔年): 2000年から始まり2015まで。途
中科目名変更もあったが、情報システム/分散システムの科目とし
て続く。始めのころはHTMLなどWWW関係中心。
- [L20]
オブジェクトシステム@GSSM(隔年): 2002年度〜2008年度の、3学期
(1月〜)の奇偶科目、本読みゼミと講義の混合。OO設計、継承とイ
ンターフェース、スレッド、排他領域。
- [L21]
情報科教育法II@学芸大: 山崎謙介先生の依頼で、学芸大の情報科
教育法を2002年と2003年だけやる。教員免許を取る人とゼロ免の人
が混ざっているので、ゼロ免は生徒役中心。指導案をHTMLで書かせ
互いに見るなど。情報科教育法の本とか出した後だったので助かっ
た。いつものネット等の内容もあるが、結構「文系ぽい」話題も
入れてあり面白い内容。
- [L22]
データベース@GSSM(毎年): GSSMのドメインからDBは重要との考えから、
2005年から毎年で開講し2009年まで続く。構成は (1)DB、SQL (2)
モデリング (3)PHP (4)セッション管理 (5)DWH。
- [L23]
情報科学@東大: 2006年から情報科学となりCSの内容重視になる。
2006年は言語はJavaまたはRubyだったのでJavaで実施したが翌年か
らRubyに。2016年まで非常勤をやる。構成は (1)モデル化/アルゴ
リズム (2)制御構造/数値積分 (3)制御構造の組み合わせ/f(x)=0の
求解 (4)手続き/再帰/絵の生成 (5)整列/時間計算量 (6)連立一次
方程式/常微分方程式 (7)オブジェクト指向/乱数 (8)動的データ構
造/リスト/2分探索木 (9)抽象構文木/字句解析と構文解析 (10)ス
タックとキュー/状態空間の探索 (11)動的計画法/パターン認識
(12)様々な言語/型/Java。言語屋なのでCSでもそちらの内容が結構
重視されている。これを元に近代科学社から本を出す。
筑波時代 後期(2007-2016)
- [L24]
プログラミング言語論@GSSM(隔年): 言語論という講義を2010年に
やっと作った。最初の年はTSSIの再利用だったが、2012年はかなり
それっぽい。2012の構成は (1)チューリング機械と完全性/言語の
要素/機械語とスタック/スレッド実装 (2)ラムダ計算/Lisp (3)万
能関数 (4)ADT/C++の面倒/OO/継承 (5)型パラメタ/STL/テンプレー
トmixin/テンプレートメタプログラミング (6)関数型/カリー化/遅
延評価/モナド。言語論としてはよくできてると思う。 2016年版は
易しくして (1)「小さなコンピュータ」とAMD64のスタック/スレッド
(2)Rubyによる式木/構文解析 (3)Lispと万能関数 (4)GPSとAI。
- [L25]
オブジェクト指向プログラミング@GSSM(隔年): 2010-2014。Javaを
用いてOOの様々な側面を学ぶ。構成は (1)クラス/図形オブジェクト
(2)複合図形/イベントアダプタ (3)フレームワーク/内部クラス (4)
アニメーション (5)分散/RMI/Linda。
- [L26]
ユーザインタフェース@GSSM(隔年): 2010-2014。構成は (1)UIの基礎
(2)MHP/時間計測 (3)KLM/GUI (4)新しいUI。
- [L27]
オブジェクト指向技術@GSSM(隔年): 2011-2015。構成は (1)OOと拡張性
(2)リフレクション (3)アーキテクチャ/パターン/SableCC (4)CS/RPC
(5)モビリティ/Linda。
- [L28]
情報システムとWeb技術@GSSM(隔年): 2011-2015。情報システム技術論の
終わりの方。内容も前半のみ5回に。
- [L29]
テキスト処理@GSSM(毎年): 2015-2018。GSSMで作った最後の科目。数値で
なくテキストを扱います、という意味。構成は (1)ファイル処理/
パターンマッチ (2)データ抽出/整列/集計 (3)計算量/パネルデー
タ (4)HTML/スクレイピング (5)突き合わせ/名寄せ。
電通大時代(2016-2022)
- [L30]
コンピュータリテラシ@電通大: UECでの「本務」の科目その1。そ
の2の科目とも、移った2016年は準備にあて、2017から開始。現時
点(2024)も久野はやめているがまだ継続中。全学必修なのでやりが
いがあった。構成は (1)認証とよいパスワード/タッチタイプ (2)
インターネット (3)ネットの安全性/WWW/メール(4)2進法/アセンブ
リ言語/CPU (5)ファイルシステム (6)OS/プロセス/パイプ (7)フィ
ルタとスクリプト (8)JS/テストケース (9)テキストファイル/エディ
タ (10)マークアップ/整形系 (11)グラフィクス/図と表 (12)アカ
デミックリテラ(総合制作)シ (13)HTML/CSS (14)WWWと情報アーキ
テクチャ (15)Webサイトの設計と制作(総合制作)。順序は年により
多少入れ換え。内容はこれまでに教えて来たものの集大成という感
じ。
- [L31]
基礎プログラミングおよび演習@電通大: UECでの「本務」の科目そ
の2。全学必修。構成は (1)Ruby入門/様々な誤差 (2)制御構造/数
値積分 (3)制御構造の組み合わせ/配列 (4)手続き/再帰 (5)2次元
配列/レコード/画像 (6)画像の生成(総合制作) (7)整列/計算量
(8)乱数とランダム性 (9)オブジェクト指向 (10)動的データ構造/
情報隠蔽 (11)C言語入門/f(x)=0 (12)配列/DP (13)文字列操作/多
次元配列 (14)構造体/動的データ構造 (15)チーム開発/動画(総合
制作)。プログラミング入門科目の集大性だが、RubyとC両方という
のがやや大変。
- [L32]
システムソフトウェア特論@電通大: 科目名(多田好克先生の科目を
引き継いだためこうなった)はともかく、中身は言語処理系の大学
院科目で、2018と2019のみ実施。構成は (1)様々なパラダイム
/Java/Tokinizer (2)構文定義/再帰加工解析 (3)言語処理系の構成
/式木 (4)正規言語とオートマトン/CYK (5)字句解析 (6)文脈自由
文法/LL(1) (7)再帰下降解析器と構文図 (8)上向き解析/JFlex/Cup
(9)コンパイラコンパイラ/SableCC (10)意味解析/記号表/型 (11)
実行時環境/スタック/呼び出し規約/コード生成 (12)最適化/値番
号/データフロー解析 (13)オブジェクト指向言語のコード生成。始
めて書いた本のアップデート版が作れてとても幸運だった。
- [L33]
プログラミングプロジェクト@フェリス: 内田奈津子先生が持って
いる科目(2017-)で、プログラミング入門の部分を資料のみ担当。
電通大の科目からRubyでお絵描きの部分を抜き出して使いやすく加
工した。
- [L34]
プログラミング通論@電通大: 2年前期の1類(情報系)の科目で、3ク
ラスあるうちの1クラスを担当する。C言語でアルゴリズムとデータ
構造をやる感じ。基礎プログラミングおよび演習はこの科目をスムー
ズにやるためできたという感じ。構成は (1)C言語の基本/PS描画
API (2)配列とポインタ/テストケース/mallocとfree (3)スタック/
文字列 (4)キュー/グラフ探索 (5)再帰と探索 (6)分割統治と再帰
の除去 (7)動的データ構造/単連結リスト (8)双連結リスト/エディ
タ (9)抽象データ型(整数の集合型)/乱数と時間計測/時間計算量
(10)CSVの読み書き/qsort/様々な整列アルゴリズム (11)高速な整
列法/完全2分木 (12)整数整列/様々な探索/ハッシュ (13)2分木
/AVL/多分木/B木 (14)メモ化/2次元DP/LCS。アルゴリズムとデータ
構造のCS向け授業は初めてで面白かった。
- [L35]
MICS実験-JavaによるUI@電通大: MICS実験は卒検配属に向けて先生
方が自分の専門方面を3年生に売り込む科目。私は専門は情報教育
なのだろうけど、あまりそのネタは無いので、JavaによるUIを2018
から2年やった(ほんとは2016からできたのだろうけど、情報部会科
目で忙しくしていた)。構成は (1)グラフィクス/図形クラス/複合
図形 (2)イベントプログラム/認知特性/汎用ドラグ (3)アニメーショ
ン/動きの部品化/ドラグとの併用 (4)GUI部品/GUIデザイン/動作/
メニューバー (5)HVM/反応計測/メニューのデザイン (6)新しいイ
ンタフェース/くっつきドラグ/投げるデモ。UIでいろいろ工夫して
来たことがまとめられて良かった。
- [L36]
情報技術基礎@星薬科大: 星薬科大と電通大の協力で星の薬剤師で
ない(4年の)コースの情報教育を頼まれて、WWWで3コマぶんを引き
受けた。1年目は授業に行って面白かったが、2年目は病気、しかし
コロナのため遠隔授業にするということでビデオ取りは済ませてあっ
たのでレポート採点だけお願いしてこと無きを得た。というわけで
これが最後の授業。構成は (1)HTML/練習ページ/CSS (2)ファイル
にHTML/絶対と相対URL/画像/情報アーキテクチャ/グリッドレイア
ウト(3)サイトの設計と制作/制作実習。チームを組んでWebサイト
を作る課題はコースの指向(ビジネス?)と合っていて、わりとよく
取り組んでくれたと思う。
指導学生
(敬称略にて失礼します)
- 筑波: 岡野美和子(修士)、鵜林尚靖(修士)、地引昌宏*、上田哲郎*、福井眞吾(修士)、
芦原栄登士(修士)、根岸 康、兼宗 進*、西森丈俊*、斎藤祐一郎(修士)、
辰己丈夫*、芝﨑順司*
(*博士に入学した人はほぼ学位取得。修士はとくに目だった人のみ記載)
筑波ゼミ参加者(学生外): 滝本宗宏、神林 靖、児玉靖司、澄川靖信、小林正人、
大角道子、片上英樹、荒井俊史
- 電通大: 廣瀬公一郎、渡辺勇士*、内田奈津子*、久保文乃(修士)、青木暢彦(学士)、
宮島拓三(修士)、渡邉景子、中鉢直宏
(*病気のため、博士取得は中山泰一先生の御指導による)
電通大ゼミ参加者(学生外): 辰己丈夫、西森丈俊、武藤浩子、赤澤紀子、
谷 聖一、福井眞吾